斉藤茶園さんでの茶葉収穫ボランティア体験
先日、静岡県の本山(ほんやま)地区にある「斉藤茶園」さんにて、茶葉の収穫ボランティアに参加してまいりました。 豊かな自然に囲まれ、自分の手で茶葉を摘み取る貴重な経験となりましたが、今回の訪問で何よりも心に深く残ったのは、斉藤茶園さんが「なぜ無農薬のお茶作りにこだわるのか」という、その切実で温かい想いでした。 山の頂から始まる、水と命の循環 斉藤茶園さんの茶畑は、その山の最も高い位置に切り拓かれています。 日当たりや風通しが良い反面、山の頂上付近に位置するということは、「そこで使われたものが、必ず下流の山や川へと巡っていく」ということを意味します。 もしこの一番高い場所で農薬を使えば、その成分は雨水と共に山を下り、川へと流れ込んでしまいます。斉藤さんが無農薬にこだわる最大の理由は、美味しいお茶を作ること以前に、「この山を守るため」だったのです。 川の色が変わってしまった原体験 このような確固たる信念を持つに至った背景には、斉藤さんご自身の苦い経験がありました。 昔、農薬を使用していた時期に、農薬の影響で川の苔や植物の色が変わってしまったのを目の当たりにしたそうです。その時、斉藤さんは「私たち一次産業は、自然に助けられて生業を成り立たせている。その自然を自らの手で壊してはいけない」と強く痛感されたと言います。 手間ひまをかけ、自然と共に生きる覚悟 無農薬での茶葉栽培は、決して楽な道ではありません。 害虫の駆除や雑草の管理など、想像を絶するほどの時間と手間がかかります。 それでも斉藤さんは、効率や利益よりも「自分たちが関わる自然を守ること」を徹底し、ひたむきに美味しいお茶を作り続けています。その自然への深い敬意と、お茶作りに対する揺るぎない覚悟に、私は心から感銘を受けました。 今回収穫のお手伝いをさせていただいたお茶には、そんな斉藤さんの自然を愛する優しい想いがたっぷりと詰まっています。一杯のお茶の背景にある「山を守るストーリー」を、ぜひ皆様にも感じていただけたら嬉しいです。